日本統治下における台湾キリスト教伝道

カイザルのものはカイザルに、神のものは神に

美しい島フオルモサ(台湾)のもうひとつの歴史
昭和11年11月22日 洗礼記念
手記 - 恵さんへ大変貴重な資料です 父より - から
Another History of Ilha Formosa.

<タイヤール族タロコ蕃次郎君の殉教:手記>

 昭和20年9月2日。帰宅した。私は鳳林長老教会、徐牧師宅を訪問しました。顔を合わせた途端、「小池先生、次郎が殺されました。」と大声で叫びました。私は「どうして」と言いながら絶句しました。
 「小池先生、次郎は駐在官に父親の目の前で根棒でなぐり殺されました。」
 と話して下さいました。
 次郎君はチュアン老師と来訪された時 語られた通り殉教者となりました。次郎君の弟は軍夫として召集され南方へ行っていますが、私共が弾圧を受けた頃、蕃社の駐在官M氏に呼び出され、父親の目前で信仰の放棄を迫られました。「殺されても信仰を捨てません」と告白し、「よし、殺してやる。」と根棒でなぐり殺されました。

 蕃社の人々は父親に「Mさんの片手か片足をもらってはどうか」と言ったそうですが、次郎君の父親は「『イエス様は汝の敵を愛せ』と教えておられるから、許してやろう。悲しむことは俺だけでいいよ。Mさんも長い間ここにおられて世話になっておるから、クリスマスにごちそうしてお別れしよう。」と皆をなだめたそうである。この言葉に誰も反対できずそのようになったということを話して下さいました。

 経済担当の駐在官の中には このような仕返しを受けたと聞きました。早く気付き沖縄に逃げた方は助かったと聞いております。

 1952年9月東京神学大学に於いて第二回全国教職研修会に出席しました。研修終了日、証し会があり次郎君の殉教前后を語りました。終わりますと兵庫県から出席した某牧師が立ち上がり、そのMという巡査は私の親類のものですと立証された事も大きな驚きでありました。


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